近年、外壁リフォームの中でも人気が高い“重ね張り(カバー工法)”。既存の外壁材を撤去せずに、その上から新しい外壁材を重ねることで、コストや工期を抑えながら建物の見た目と性能を向上させることができる工法です。
しかし、このカバー工法で仕上がりを美しく、そして長持ちさせるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。その中でも特に重要なのが“通気層の確保”です。そして、この通気層を生み出す役割を担うのが“胴縁(どうぶち)”なのです。

通気層の役割とは?
通気層とは、既存の外壁と新しい外壁材の間に設けられる空気の通り道のことです。この通気層には次のような役割があります。
- 結露防止 建物内部と外部の温度差によって発生する結露。通気層があることで湿気が滞留せず、カビや腐食の原因となる結露を防ぐことができます。
- 外壁材の長寿命化 空気が循環することで、外壁材が受ける熱や湿気の影響を軽減し、外壁材自体の寿命を延ばします。
- 断熱効果の向上 通気層は建物内部の熱を逃がしにくくし、夏は涼しく、冬は暖かい快適な住環境を作る助けとなります。

胴縁施工のポイント
胴縁は、通気層を確保するために既存の外壁に取り付けられる下地材です。この胴縁施工の出来栄えが、カバー工法の仕上がりを大きく左右します。以下のポイントを押さえることで、高品質な施工を実現します。
- 適切な間隔で設置する 胴縁の間隔は、新しい外壁材の種類やサイズによって異なります。一般的には30cm–45cmの間隔で取り付けることが推奨されています。
- 通気経路を確保する 胴縁は垂直方向に取り付けるのが基本です。これにより、空気がスムーズに上昇し、通気性が確保されます。
- 固定の強度を確保する 胴縁がしっかり固定されていないと、外壁材のズレや浮きの原因になります。建物の構造体にしっかりとビスで固定します。

カバー工法は、正しい施工方法を採用することで、その効果を最大限に引き出せます。特に胴縁施工は、目に見えない部分ながら、建物全体の性能や見た目を左右する重要なポイントです。